昨日1月25日に、新国立劇場のワーグナー「さまよえるオランダ人」に行ってきました。今回の上演全5回中の3回目。 

通常は主なオペラ上演の時にはプレス公開のゲネプロがあり、それにお邪魔します。そこでご報告を書けば、それを読んでくださった方が「行ってみようか」となった方は切符さえあればどの日にも間に合います。

新演出ではなくて、2回目以降の上演の場合は、普通そのゲネプロはないので、初日か最悪二日目か。終わり頃行くのは、見るだけなら回数を重ねてよくなっていることもありますが、皆様にレポートする意味は半減ですからね。

と、いうのが主催者的立場からの感覚。批評ということなら、いつ言ってもいいです。後ろほど練れて良いかといえば、そう単純でも無いですけどね。歌手の声が疲れてくる場合もありますし。

今回のような5回中3回めの拝見というのは、いかにも中途半端ですが、まあスケジュールの都合でそういうこともあるわけです。

で、そのオランダ人。

芸術監督飯守泰次郎さんご自身の指揮。芸術監督1年目の本シーズンは最後のパルシファルと、最初ではありませんが、まあ出世作で普通はこれから、という「さまよえるオランダ人」の2作をご本人が振ります。まあワーグナーをやっていただくための人選でしょうから当然。

演出はマティアス・フォン・シュテークマンのものの3回めのお勤め。最初は2007年でした。普通に考えられるこの作品のイメージに沿った、意外なところの無い穏当なもので、典型的なレパートリー上演、といった雰囲気です。
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歌手ではヒロインのゼンタ役のリカルダ・メルベートのド迫力の歌唱が聞きものでした。可憐なる乙女というよりは、これぞドラマティコという面が味わえます。どの声域でも声質でも簡単ということはありえませんが、日本で「ドラマティコ」の強い声を聞ける機会はそんなには多くありません。というより世界的にもヘルデンテノールとか強い高音というのは、サッカーのストライカーのようなもので、やはり稀有の才能が必要のようです。
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ゼンタがド迫力ですと、主役のオランダ人がひ弱だと、それこそコメディーになってしまいます。今回のトーマス・ヨハネス・マイヤーはもちろんそんなことはありえません。新国立劇場の「ヴォツェック」タイトルロールでの熱演も思い出されます。
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この作品はコーラスも重要ですが、定評ある新国立劇場のコーラスですし、演出的にも奇をてらわず、素直に並んで歌えるところが多いので何の問題もありえません。
オーケストラは、この日に限っては随分とホルンがポロポロやっていました。いくら難しい楽器でもワーグナーであまりポロポロやられると気勢がそがれますね。残りの2回は頑張っていただきましょう。
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と、いうことで、指揮、演出、歌手ともども安心してワーグナーらしいワーグナーが味わえて、時間もそんなに長くなく休憩入れても3時間くらいですから、幅広い層の方々におすすめです。

1月28日(水)の19時、31日(土)の14時と2回残っています。
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(この記事の写真はすべて寺司正彦撮影、新国立劇場提供です。)