その「さまよえるオランダ人」が行われた新国立劇場ですが、先日新シーズンのラインアップ発表記者会見がありました。同劇場は欧米の通例と同じく、9月から翌年初夏までが1シーズンで、新シーズンは2015秋-16初夏が当該時期、飯守泰次郎芸術監督の2シーズン目ということになります。
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[新制作] ラインの黄金  2015年10月1日(木)~10月17日(土)
 指揮飯守泰次郎 演出ゲッツ・フリードリヒ

●トスカ  2015年11月17日(火)~11月29日(日)
 指揮エイヴィン・グルベルグ・イェンセン 演出アントネッロ・マダウ=ディアツ

●ファルスタッフ  2015年12月3日(木)~12月12日(土)
 指揮イヴ・アベル 演出ジョナサン・ミラー

●魔笛 2016年1月24日(日)~1月30日(土)
 指揮ロベルト・パーテルノストロ 演出ミヒャエル・ハンペ

[新制作] イェヌーファ  2016年2月28日(日)~3月11日(金)
 指揮トマーシュ・ハヌス 演出クリストフ・ロイ

●サロメ  2016年3月6日(日)~3月15日(火)
 指揮ダン・エッティンガー 演出アウグスト・エファーディング

[新制作] ウェルテル  2016年4月3日(日)~4月16日(土)
 指揮マルコ・アルミリアート演出ニコラ・ジョエル
 
●アンドレア・シェニエ  2016年4月14日(木)~4月23日(土)
 指揮ヤデル・ビニャミーニ 演出フィリップ・アルロー

●ローエングリン  2016年5月23日(月)~6月4日(土)
 指揮飯守泰次郎 演出マティアス・フォン・シュテークマン

●夕鶴  2016年7月1日(金)~7月3日(日) 
 指揮大友直人 演出栗山民也

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飯守さんらしい、穏当なラインアップですね。ドイツもの、イタリアもの、その他を適度に織り交ぜて。賛否両論になることも多い邦人現代作品も團伊玖磨「夕鶴」なら、そんな心配もありませんし。

とは言え、やはり芸術と予算の折り合い、ということは常にあるようで、飯守さんを招いた目的とも思えるリング新チクルスも、新制作ではありますが、筆おろし演出ではなくゲッツ・フリードリッヒの1996年のもので行われ、飯守さんも「ファーストチョイスではない」とあえて述べておられました。新演出ではない場合にどれを選ぶか、もまた監督の個性がでますから、ファーストでないにしても次善に選んだのがゲッツ・フリードリッヒというのが飯守さんらしいところです。

まあ新国立劇場の第一次東京リングは、かなりぶっ飛んだものでしたから、胸をなでおろした年配ファンの方も多いかもしれません。

私はヤナーチェクが好きなのでイェヌーファの新制作はやはり楽しみです。指揮者はいきがいいトマーシュ・ハヌスで、演出はあちらこちらのメジャーシーンで名を聞くクリストフ・ロイですし。これまた新制作といっても新演出ではなく、ベルリン・ドイツ・オペラでやられたプロダクションですが、こちらは2012年という最近のものですから、感覚的にもズレは無さそうです。

穏当なラインアップということは、話題性よりも質が問われるということにもあるでしょう。実際に通った結果、「なかなか充実したシーズンだった」となるといいですね。

このラインアップに至った経緯をよくわかっている方をゲストに招いてミュージックバードの番組でもあれこれきいてみようと思っています。

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