2015年2月7日(土)世田谷パブリックシアターのこんにゃく座公演林光「白墨の輪」に行ってきました。
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ブレヒト原作、林光さんにとってもこんにゃく座にとっても出世作的イメージの作品です。

元は伴奏部分はピアノ1台でしたが、後に作曲者自身の手で管弦楽版及びピアノ改作版が作られ、今回は更に「ピアノ+木管四重奏(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット)」と書きなおされていました。編曲は音楽監督の萩京子及び吉川和夫、寺嶋陸也のお三方によるものです。

始まってしばらくして、遅刻の客がレセプショニストに誘導されて入ってきたので、「まあ、ぎりぎり間に合わなかった人は入れたのか」と思っていましたが、その後も続々と五月雨式に入ってきます。数人レベルではなく多分二桁の人数。すべて誘導スタッフがついていたので、公認なのでしょう。「ドアそばの座席でとりあえず休憩まで」などというレベルではなく前方真ん中でも自席までご案内、です。

あそこの劇場は、ロビーでちょっと写真をとってもスタッフが飛んできてカードからの削除を要求なさるくらい厳しいイメージですが、遅刻客には寛容のようです。もっとも主催者の判断か劇場側の判断かは存じ上げませんが。

せめて上階の一つのドアから、区切りのいい時に入れるとかして欲しいものですが、まあこういうことも考え方は様々、ですか。

ネガティブなことを書いてしまったので、ついでにもう一つ。プログラムに、あらすじなり台本の説明は見当たらないように思えました。プログラム自体は充実した書き下ろしが並んでいますが、いずれも、回数重ねた馴染みのお客様向けので内容で、「白墨の輪」について全く知らない初めての観客向けではないようです。

確かに、こんにゃく座の常連客はかなりはっきりしていますし、ブレヒトのこれを今更あらすじも・・・・といったところでしょうかね。

内容的には、その管楽器を使った改作はいい感じでした。経済的には苦しくてもこういうチャレンジをしてこそで、音色が増えるだけでなく、注ぎ込まれたものが多様になり、交代でなされる打楽器なども含めて多彩に楽しめました。

坂手洋二(さかて・ようじ)さんによる新演出もシンプルでストレート。ブレヒトものを今やるのは似合いそうでなかなか難しいと思いますが、いい線いっていたのではないでしょうか。
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いつもながらのシングルキャストで1日2回公演ですが、歌手の方々もそういう体質になっているのでしょう。「何ならその前にもう1回ゲネプロやりましょか?」といわんばかりの言い訳抜きの熱演でした。

俯瞰でみやすい2階席の座席で拝見できて、上手の器楽奏者のピットもよく見えて楽しませていただきました。
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こんにゃく座通例で指揮者はいませんから、合わせるのは結構大変そう。スコアだって簡単ではありませんから。慣れなのか経験なのか、もともと御優秀なのか、軽々と合わせてみえるのもさすがでした。メンバーはこう