先週行われた、アレクサンドル・ラザレフと日本フィルハーモニーによるショスタコーヴィチの交響曲第11番はさすがでした。

このコンビでこの曲ですから、当然前評判も高かったわけですが、そういうときにそれにふさわしい成果を出すのも、そう簡単なことではないでしょう。

今回の実感では日フィルの各ソロ部分の充実が目立ちました。

東京などは情け容赦無く世界トップ級のオーケストラが日夜音楽祭のようにやっていますから、その中で日本のオーケストラがソロで印象に残ったりは、以前はなかなか無い話でした。

確かに空いたポジションのオーディションをやれば、すごい人数が集まり、その百倍とかを勝ち抜いてきた人の比率が徐々に高まるのですから、はっと気づけばまるで別物になるのも当然といえば当然なのでしょう。

まずは序奏のホルンとティンパニー。もう、ここで「勝負あり」といった雰囲気でした。このお二人はその後も全曲通して素晴らしく、特にティンパニーの前に出てくる音楽には全く興奮させられました。

他にも同団定評あるトランペットはもちろんのこと、イングリッシュホルン、バスクラリネット、大太鼓などこの曲の要所要所で聞かせてくれます。

ラザレフ&日本フィルコンビの積み上げたものの集大成とも言えるでしょうけれど、これほど個々の奏者が印象的な会も珍しいと思いました。

そもそも、今回のショスタコーヴィッチシリーズは全曲ではなく、4番、11番、8番がやられていますが、この選曲や順番がいいですね。「すべてが含まれている」と言いたくなる4番から始まって、手に汗握る11番、そして完成度最高の8番、ショスタコをまず3つ聞くならこう、と説得させられます。

4番の時は作品が印象に残り、11番は個人技が印象に残ったのも、要するに「そういう曲」で「いい演奏だった」ということに他なりません。昨今充実している日フィル東京定期でもまた特別に印象的な一回でした。
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