昨日は日本フィルのピエタリ・インキネン首席指揮者就任の記者会見でアークヒルズのANAホテルへ行ってきました。と、つい書いてしまいますが、今はこのホテルは「ANAインターコンチネンタルホテル東京」というのですね。こういうところだけご指導いただく場合もありますので、気をつけませんと。

日本フィルは、ここしばらくラザレフ、インキネン、ヤマカズの3氏が中心でしたし、首席がラザレフからインキネンになり、ラザレフは今後も「桂冠指揮者兼芸術顧問」ということで年2回はご来日だそうですから、そんなに大きく変わるわけでは無いようにも見えます。インキネンも年2回だったのが年3回ということですから。

ですが、不思議に「何か新しく頑張る」という気迫は伝わるような記者会見でした。平井俊邦理事長も正統的な、各氏に配慮された見解を話しているだけのようですが、いわゆる役人的な挨拶とはだいぶ違い、自らの言葉でまっすぐにお話になりますので、説得力があります。
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インキネン氏の日フィル首席就任は2016年9月からで、その前に今秋からはプラハ交響楽団の首席も引き受けています。今は首席と言っても上記くらいの指揮回数ですから、兼任も普通といいますか、名のある方でしたらあちらもこちらもという感じです。まあ、それにしても彼が上昇中でお声がかりが多いのは明らかでしょう。

日フィルのスタッフの方々は、このインキネン氏の場合でもヤマカズさんでも、わがことのように他の名門オケのポジション就任をお喜びになり、広報協力したりなさっています。「自分のとこにかける力が削がれるのではないか」、と心配などしないのはもちろん、「広く芸術文化、ご本人のためなら」という度量を示すのでもなく、本当に仲間の出世を喜んでいる感じで、偉いというか、いい人たちですね。

そういう人たちとだからこそ、とインキネンさんも張り切っているのは何よりです。「ポジションに付くのは光栄で頑張るが、自分の権限なり分担はよくわからない・・・」などとおっしゃる淡々とした発表会見も無くはありませんし。

具体的にはワーグナーを頑張るそうです。2016年9月の就任記念演奏会もワーグナーガラだとか。

日フィルの特徴は何と言っても「オペラやバレーのピットにほとんど入らない」という純然たるコンサートオーケストラであること、でしょう。東京フィル、東京交響楽団はもちろん他も日フィルよりは何やかやとピットに入っているように思えます。

ですからワーグナーと言っても演奏会形式か、あっても少々演出的なことや背景を映す程度でしょうが、それでもインキネンさんは毎シーズン何らかのワーグナー作品をそれも国際的Aランクのワーグナー歌手でおやりになりたいようです。

ワーグナーを得意とするマレク・ヤノフスキもシェフをやっているのがベルリン放送交響楽団。日フィルと同じくオペラオーケストラではありませんが、そこでガンガンワーグナーをやりドレスデン国立歌劇場管弦楽団と名盤を残しているディスクさえベルリン放送響ととり直していますから、やる気になったらどこでもなんとでもするわけです。

平井理事長は「首席になった人には財務状況もよく教えて教育して実際的にやりたい」と笑いながらおっしゃっていましたが、銀行出身でそういうことは誰よりもプロでありそうな平井俊邦さんが、本当は「何とかして音楽的に少しでもいいもの、指揮者のやりたいものをやらせたい」と情熱を持っているのは分かりますから、こういうシャレも通じます。

と、なかなか感じの良い記者会見でしたし、意外に変化も大きく、名実ともにインキネンサウンドになっていくのかもしれません。今週末には同コンビでブルックナー7番とヒューイット独奏でブラームス1番の協奏曲という豪華な前夜祭も準備されています。
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