新国立劇場でのオペラ「椿姫」新制作の幕が開き、5月10日の初日にお邪魔してきました。
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7月には兵庫の佐渡オペラも椿姫ですし、EUが無料のネットオペラ中継を始めるのも、マドリッド、テアトロ・レアル「椿姫」とか。

確かに全オペラの中で最もポピュラーなものの一つですが、その地位は、まだ名実ともに守られているようです。

その5月10日も開場前に着いたのに、同劇場の駐車場は一杯。以前アムステルダムで一晩空いた時にネーデルランドオペラに行ったら「椿姫」で満席当日券販売無しでした。

それぞれ「当たり前のよくあること」とは言っても実感として「勢い」を感じるのも事実です。ネーデルランドオペラなどは、どちらかといえば近現代のユニークな作品上演が目玉の劇場で、内外からその手の人達が集まり、バタフライなどだとけっこう客席ががらんとしていることもあったりしますけれども。

演出も演奏も、別に極端な読み替え演出でなくても、徐々に変わっていきます。もう20世紀のDVDなど見ると、どこか古風で歴史物に見えたり。

衣装などビジュアル面が一番分かりやすくて、時代設定がどうであれ、今のセンスというのは如実に出るものなのでしょう。

新演出、新制作されるごとに感覚がアジャストされたり、新たな面に気付かされたり。そういうことが続く間は、まだ作品が生きているということ。「こんな経費をかけることに意味があるのか」というフルイに常にかけ続けられているわけですから。

演奏は譜面自体は同じはずですが、やはり変わってきており、特に新制作のときなどはそれを感じます。

今回、最も感じたのは指揮者イヴ・アベルのエネルギーの持続感でした。ヴェルディの音楽がとても現代的に生々しく聞こえます。今日のリアルな生きたものとして弛緩させずに持っていくのは、大したものだと思わざるを得ません。

全体が一つの交響曲のようにがっしりと、しかも劇場的な多彩さを伴って聞こえてきます。このイヴ・アベル、次の「ばらの騎士」のシュテファン・ショルテスと、実力派が続けて登場で何よりです。