佐渡裕とトーンキュンストラー管弦楽団そして辻井伸行による初日のムジークフェライン公演が無事始まりました。ドビュッシーの「牧神の午後」、プロコフィエフの第3ピアノ協奏曲、そしてベートーヴェンの7番というプログラムです。

何せ、すごいぎっしりの聴衆。満席なのはもちろんですが、ステージの上手と下手のちょっとだけの隙間にも補助席が並び、ハープだの打楽器奏者とは、比喩ではなく実際に「手を伸ばせば触れる所」まで聴衆がうまっています。このホールならではの1階後方の立ち見席もびっしり。

アートですから内容が一番大事ですが、やはりこういう熱気のような期待のようなものも大きいですね。ゲネプロのプロコフィエフでも、オーケストラが抑えるどころか普段以上に弾くくらいで、そんなところにも新監督への期待や熱を感じます。要するに安全運転の逆です。

やれ撮影だの、テレビ中継だの、録音だのマイクがどうだの、スタッフが右往左往しているのも、この熱気に似合います。
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ファンの方々はもとよりご存知のように、ウィーンは佐渡裕がバーンスタインのもとで学んでいた場所。音大も指揮科ではなく、ママさんコーラスと学生オケくらいしか経験も無い若手指揮者とすら言えない佐渡がどんな気持ちで日々を過ごしていたか、という土地。今やベルリン・フィルだのウィーンムジークフェライン公演を平然とまとめあげるスタッフのなかには、当時ウィーンのおみやげ屋でアルバイトをしていて佐渡と知り合った、などという人もいたりして。

そんなこんなの方々が結局、ムジークフェラインで指揮する機会を得た、などというものではなく、音楽監督として戻ってきたのですから、ドラマ的ドキュメンタリーも作りたくなる、というものでしょう。
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さらに特別なコンビとして共に歩んできた辻井伸行さんもいらっしゃいますしね。
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ヨーロッパ在住の日本人を含む各国ジャーナリスト、更にはこのために組まれた日本からのツアー客の方々などもいらっしゃったようですから、その会場の熱狂ぶりはSNS等で様々に伝えられるでしょう。語学に自信のある方はドイツ語や英語でも多数出てくるはずですからどうぞご覧の程を。
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という熱狂の一夜ではありましたが、佐渡さんも辻井さんも今や誰よりも多くの海外公演を経験しているアーティストたち。いい意味で全く普通のプロの仕事を淡々とこなしている面もあります。興奮と冷静さが入り混じった公演、本日はマチネーのムジークフェラインです。