佐渡裕のトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督就任記念の定期演奏会がいよいよ始まりました。このオーケストラの定期はウィーンのムジークフェラインで複数回やって、更に近郊のザンクト・ペルテンや音楽祭で有名になってきたグラフェネッグでも行われる、という恵まれた環境にあります。

その最初のムジークフェライン公演が終わり、本日はグラフェネッグ、明日はまたムジークフェラインです。私はこの今日明日と拝聴しますので、中身のご報告はそこで。
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先年佐渡がベルリン・フィルの定期に登場した時は、小さいころの日記に「将来ベルリン・フィルを振る」と書いたのが実現した、と話題になりました。

それは分かりやすいトピックでしたが、「ウィーンでムジークフェラインを本拠とするオーケストラの音楽監督として迎えられる」とは、ご本人も夢にも思わなかったのではないでしょうか。

バーンスタインがウィーンに滞在していた時に弟子として出入りしていたムジークフェラインでは、多分楽屋口で「おまえは誰だ?」とは言われないまでも、まあそんなものだったでしょう。

それがムジークフェラインの総支配人のアンギャンが出迎えに出てくるような地位になろうとは。さらにウィーン・フィルとのリハに来ていたエッシェンバッハも顔を見せたりしています。
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ムジークフェラインは世界に冠たる著名ホールですが、やはりそこを本拠地とするオーケストラの定期公演は、その柱になります。ウィーン・フィル、ウィーン交響楽団、そしてトーンキュンストラー。

なかでウィーン・フィルは基本的にシェフを持ちませんし、ウィーン響のシェフのジョルダンはパリオペラ座と掛け持ちであちらにいることのほうが多いです。

となるとウィーンに腰を据えた佐渡の活動はムジークフェラインからもウィーン音楽ファンからも固唾を飲んで見守られています。

もちろんトーンキュンストラー管弦楽団団員の皆様は佐渡さんの成功具合で自分たちの生活すらある程度変わるわけですから、真剣そのものでしょう。
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そこでの今回のデビュー定期が、ハイドンとブラームスの交響曲、それにモーツァルトのピアノ協奏曲をピリスと、というのは凄い選択でした。

この種の就任記念はマーラー、特に2番「復活」とか派手な大曲がよく取り上げられます。そのなかでハイドンの6番とブラームスの4番、そしてモーツァルトの20番代ではないピアノ後奏曲、というのがトーンキュンストラー管と佐渡が選んだ曲目でした。

真っ向ウィーン古典派で勝負して、その期待そのものをプログラムにしたわけです。それはもちろんこれまでの佐渡の古典派への評価が結実しているわけです。聴く人は聴いていたのですね。

そしていよいよその日が来ましたが、期待されたピリスは病気のためにダウン。代わりに22歳のベアトリーチェ・ラナが登場して曲目もベートーヴェンの1番となりました。ハイドン、ベートーヴェン、ブラームスとなったわけです。

ラナはラ・フォル・ジュルネ東京にも出ていましたから、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。美しき新星です。

これもまた楽しみではありますが、重なってウィーン交響楽団はジョルダン指揮エマールのピアノで同じベートーヴェンの一番がやられるのですから、ピアニストもオケも指揮者も容赦なく比較されるでしょう。

まあ、こういう事の繰り返しで楽な話ではありません。でも佐渡裕はそうやって何十年生き抜いてきたので今の地位があるのです。

実際どうだったか・・・・お楽しみにどうぞ。