先日10月5日の本欄に「ウィーン・ムジークフェラインのホールは距離感が近くてインティメット」というような内容の記事を書かせていただきました。

それは全くそうだと思うのですが、そのムジークフェラインにも、そうとも言っていられない席もあります。

「オルゲルバルコニー」というオルガンの横の2階バルコニー席です。

オーケストラの後ろの真上の、いわゆるP席で、ふつうで言えばオーケストラはお尻からですが、指揮者は顔が見えて、私などは大好きな席です。正に距離感も近いですし。

ところが、ムジークフェラインに限っては、このオルガンバルコニー席からはステージが全く見えません。
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日本でも「この座席からはステージの一部は見難くなっております」といういわゆる見切り席があるところがあります。中には録音用のマイクケーブルとかと視野がかぶるとかで「あれが邪魔」とおっしゃるお客様もいらっしゃるようで、マイクを吊り下げるワイヤーの位置を、スタッフが事前に念入りに調整しているお姿なども拝見します。

これはガラパゴス日本の超絶親切な考え方で、海外では100%ステージの見えない席は結構有り、それが平気で売られています。オペラハウスでも目の前にドーンと太い柱があるとか。

ムジークフェラインのオルガンバルコニー席の多くは立ち上がって何も見えないくらい徹底してステージが見えません。

これが下から2番目か3番めの値段で2~3千円とか。(一番安いのは立ち見ですね。)

「立ち見は勘弁。だが一番安い席でいいや。」とクリックすると、この席にぶち当たります。油断もスキもありません。

ですから、せっかくウィーンくんだりまで行ってご覧になる場合は、節約モードでもチケットは下から4番目くらいより上を買われたほうが無難でしょう。

と、詳しいのはもちろん私もこの経験があるからです。最初はぶったまげましたが、多少落ち着くと、まず音はいいんですね。ステージのすぐ上ですから上手下手を聞き分けたい場合などは適当かもしれません。

それから貧乏人同氏の連帯感みたいなのが生まれて、ちょっとでも見える席のあたりに皆が集まって立ったりして。あちらではこれは普通なのでそんなに気は使いません。
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うまい位置に立てたりするとピアニストの手はよく見えたりして「結構良かったか」などと思ったりもしましたが、それもスタンディングが苦にならない年代まででしょう。