昨日は紀尾井ホールで、チャールズ・ナイディックを中心としたクラリネット室内楽でした。共演はピアノのロバート・レヴィンとチェロの水谷川優子。
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ミェチスワフ・ヴァインベルクのクラリネット・ソナタ、シューマン(ナイディック編)のヴァイオリン(クラリネット)・ソナタ第2番、後半がチャールズ・ナイディック作曲クラリネットとピアノのための「蛍」そしてブラームスのクラリネット三重奏曲で終わるというプログラムです。

近代のあまり知られていないソナタ、古典ヴァイオリンソナタの編曲、クラリネット奏者の自作、そしてブラームスの名曲という、オーソドックス、本格的なもので、「典型的なリサイタルプログラム」とすら言いたくなりますが、やはりナイディックならではの「普通では聞けそうで聞けないもの」でしょう。

管楽器の編曲物及び自作といってもナイディックですから、ありきたりのポピュラーメロディーラインを自分の楽器に写しただけのものとは一線を画しています。ピアノのレヴィンもそうですが、作曲も編曲も本格派ですからね。

ついしばらく前に荒井英治でヴァインベルクの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番を拝聴しましたが、短い間にヴァインベルクの本格的なソナタ2作品を続けて、しかも高度な演奏で聞けるとは珍しいこともあるものです。

大曲2曲味わえば、知られざる大物作曲家のイメージが強かったヴァインベルクに対しても、それなりに実感がでてきます。

ナイディックの自作が2013年というわりと最近の作品であるのも良かったです。若かりし頃の習作的な作品より、やはり今の境地がにじみ出ていて、風格を感じます。

ピアニストともども創作家でもあり、古典でもクリエイティブな瑞々しさに満ちた演奏で楽しませていただきました。