明けて1月25日、東京オペラシティのリサイタルホールで波多野睦美さんがシューベルト「冬の旅」をおやりになります。この曲を女声がやることは珍しいことではなく、クリスタ・ルートヴィッヒやナタリー・シュトゥットマンのディスクは有名といっていいくらいですし、ソプラノですら、バーバラ・ヘンドリクス、クリスティーネ・シェーファー(みどりバッハと同じくアーティスト主導と言われるONYXレーベルで)とか思い出します。

こんなに全音域で歌われる歌曲集も珍しいですから、やはり歌手の方々にとってよほど魅力があるのでしょう。シューベルト自身も死の床でもこの曲のピアノパートに手を加えていたようですし。

波多野さんの今回の相棒ピアニストは高橋悠治さん。高橋さんの「冬の旅」も色々とよく聞きますね。大晦日にずっとやっていた斉藤晴彦、CDまで作っている岡村喬生。岡村さんはライフワークで何十年もピアニストを変えながらこの曲をやって、いざ録音という時に選んだのは高橋さんでした。高橋さんもこのアルバムとか久保陽子さんとのクライスラー小品集とか、まあ本当に広い芸域。

今回のチラシはご覧のように「冬の旅 高橋悠治+波多野睦美」となっています。大物ピアニストを招くとこういう順になるのでしょうか。以前某雑誌のグラビアで、「高橋悠治(譜めくり)&高橋アキ(ピアノ)」というタイトルがあったりしましたが。
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波多野さんも以前は古いものかイギリスものか、現代作品というイメージでしたが、シェーンベルクの普通はドラマティックソプラノが歌う弦楽四重奏曲第2番とか第9のアルトソロとか、いつの間にかおやりになるようになり、こちらも芸域の広さは引けはとりませんね。

「冬の旅」は全く正反対のような近現代の作品を得意とする金管奏者とかから「全作品のナンバーワンは『冬の旅』だね」と言われたりするのも聴いたことがあります。

私自身は最後の変ロ長調はじめシューベルトの晩年ではピアノソナタは好きでしたが、「冬の旅」はいまいちでした。それがついに好きになってきて、これはわりと珍しいと思います。

こういう奥の院的作品は若い頃にはまって、ジジイになると、若書きとか、「オッフェンバックが一番」とか言うようになることが多いと思うのですけど。