先日クラリネットのチャールズ・ナイディックさんに会った時にこのCDをいただきました。しばらく前に出たモーツァルトのクラリネット協奏曲その他です。
CCF20160111
もちろん、音は出た時に聞いていますし、音源も持っていますが、パッケージCDとして、シゲシゲと目前で眺めたのは初めてです。

何と言ってもこの表紙の写真が印象的ですよね。ご本人も気に入っているのかFBのバイオ写真にもお使いのようです。

そもそもモーツァルトがどの楽器を想定して書いたか、というのは諸説あるのでしょうが、どうもこのバセット・クラリネットらしい。ナイディック夫人の大島文子さんはこんな記事を書かれています。

面白いのは、この楽器らしいという証拠のイラスト付きのプログラム誌がつい最近の10年ほど前だかに見つかって、それから復元してこういうピリオド楽器を作ったとか。

プロデューサーだのフリーランスだのブロガーだのは常に胡散臭く、毎回会うたびに「要するに何をやっておられるんですか?」ときかれるわけですが、研究者というのも、素人からすれば「そういうことを調べて要するになんの役に立つのでしょうか?」とつい聞きたくなります。

でもこういう風に実際の明確なものに至ったりするとわかりやすいですね。もっともナイディックさんは単なる研究者ではなく、演奏者、研究者、指揮者、編曲家・・・・という「マルチな」というか「本来の」というか、の方ですが。

今年になって名古屋フィルからはこういうアナウンスも出ました。

<<2016/01/06のアナウンス
2016.1/15,16開催の<第431回定期演奏会>で取り上げるブルックナーの《交響曲第9番》につきまして、指揮者の意向により、使用楽譜を[ノヴァーク版]から[コールス版]に変更して演奏いたします。今回の公演・版の変更について、指揮者・尾高忠明より皆様にメッセージが届きました。>>

そのメッセージはこうです。

「9番は作曲家自身による改訂版が存在しないので、それほど大きな変化はなく、数年前まではNOWAK原典版を使用してきたが、楽譜というものは多かれ少なかれ、訂正が必要なところがある。そのような細かい点をコールス氏が見事に処理して今回の版ができあがった。アーノンクールさんがウィーン・フィルとこの版で演奏している。尾高忠明」」

やはり地味な研究も常にやられているから、音楽の伝統も生き物として受け継がれていくのですね。