一昨日は新国立劇場での何回目かの魔笛の初日でした。ミヒャエル・ハンペ演出大野和士指揮で始まったのが20世紀で、20年近く数回にわたって使われているのですから、ロングラン人気プロダクションですね。
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そもそもモーツァルトの魔笛は思っているより更に人気演目のようです。

数年前のヴェルディイヤーのときにトゥットヴェルディという全演目映像作品プロジェクトがあり、その際に各演目が、「ヴェルディ作品の中で上演回数何番目」という紹介がありました。その際についでに「オペラ全演目の中で何位」という一覧も出てくるのですが、当該オペラが何位よりも全演目リストの第一位が魔笛なのに若干驚きました。

「椿姫」「カルメン」「ボエーム」あたり、あるいはモーツァルトなら「フィガロの結婚」かと思ったりしていましたが、少なくともこのランキングでは魔笛だったのです。

確かに、ここしばらくでも二期会の宮本亜門魔笛、「こんにゃく座」による林光魔笛、今春には宮城県多賀城市で杉山洋一編曲の縮小版魔笛などなど、絶える間もなくあれこれ行われているのですから、やはりまぎれもない人気演目ということになります。

なかで、この新国立劇場ハンペプロダクションのものは、なんといいますか、オーソドックスを絵に描いたといいますか、全く抵抗のあるところがありません。

過激な読替えとかとは無縁なのはもちろん、どこをとってもパパゲーノはパパゲーノらしく、ザラストロはザラストロらしいですし、「夜の女王」もまったくそのイメージ通りで登場して歌って去ります。

ましてや今回の指揮者ロベルト・パーテルノストロはウィーン系のベテランで、実に堅実な指揮ぶりです。テンポもすべて穏当。

舞台は日常を忘れて楽しむ上質なエンタテインメントであり訳の分からない刺激とか今風だのピリオド風だの御免被りたい、という本音からしたらこんなに安心な舞台はありません。

着実に、「新制作せずとも上演回数を重ねられるのもむべなるかな」で支持する層の厚さがうかがわれます。

このプロダクションは伝統的に、ほとんどが日本人の歌手の方々で今回もそうですが、今時下手な国際水準に見たない出演者もいるはずもなく、通常のナショナル・シアター水準で楽しめます。

ともかく余計な心配をしたくないかた、安心してオペラパレスへどうぞ。まだ3回あります。