2016年2月末から新国立劇場でヤナーチェクのオペラ「イェヌーファ」があります。

建前やら何やら色々なことをすべて抜きにしてぶっちゃけ言っていいなら、同劇場の今シーズン一番の楽しみはこれです。何と言っても作品が素晴らしい。

ヤナーチェクの作品はどれも後期がすごいとは思いますし、オペラは特に自身が台本まで手がけた後期四部作『カーチャ・カバノヴァー』、『利口な女狐の物語』、『マクロプロス事件』、『死者の家から』はオペラ史上屈指の高峰でしょう。

イェヌーファはそれよりは大分前の作品ですが、それでももう40歳にはなっていて、十分に成熟したヤナーチェクらしさが散りばめられています。

ドロドロしたドラマではあっても、トップ級の作品共通の抽象的な透明感に満ちていて、清々しささえ漂います。

2009年にミュンヘンのバイエルン国立歌劇場でこの作品が取り上げられた時、エヴァ=マリア・ウェストブルック、デボラ・ポラスキそれになつかしのヘルガ・デルネッシュという女声キャストにつられて観に行きました。その時の指揮がキリル・ペテレンコ。「完全に指揮者が支配してこれらの名歌手たちも指揮者の音楽をやりながら、それぞれの歌としても最高」という稀有の体験でした。

数年後のワーグナーアニバーサリーイヤーでリング新演出上演がペテレンコに任された時、「やっぱり」と思い、そして結局はベルリン・フィルに指名されて「やっぱり、やっぱり」となったわけです。偶然2009年に観ることができたので、ずっと自慢できてうれしいです。それ目当てでいったのではなく全くの偶然ですが。

話を新国立劇場に戻しますが、その2月末からの上演に先立って2月2日に以下のような映画会があるそうです。

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■映画上映会
『白いたてがみのライオン~大作曲家ヤナーチェクの激しい生涯~』
(ヤロミル・イレッシュ監督 1986年 チェコ映画 136分)
2月2日◎新国立劇場 中劇場 
14:00/19:00の2回上映(※開場は上映開始の30分前)
入場料◇無料(入場自由) 申込不要。(当日、新国立劇場中劇場にお越しください)
主催◇チェコセンター/新国立劇場
〈お問い合わせ〉新国立劇場情報センター 03-5351-3011(代)(10:00-18:00)
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映画『白いたてがみのライオン〉より  写真提供: National Film Archive
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無料で申し込みもいらないというの太っ腹でいいですね。いらっしゃったことが無い方はあのきれいな中劇場が体験出来るだけでもお得です。

こういうプレイベントかも含めての劇場体験で、ご自身のレパートリーが徐々に増えれば後の楽しみも増えるというものです。

その後しばらくしたら、よりダイレクトにイェヌーファのことを小沼純一先生が解説してくださるトークイントも準備されているようです。

ヤナーチェックに馴染みのなかった方も、これらなど利用して是非この最高のオペラ作曲家に親しんでいってください。