いよいよ本日が「柴田南雄生誕100年・没後20年記念演奏会 山田和樹が次代につなぐ~ゆく河の流れは絶えずして」本番日。

「売切、当日券販売なし」という望外の展開は喜ばしいが、焦っている関係者も多いだろう。いつもなら現代音楽など当日券はもちろんのこと、関係者なら直接ふらっと行って、そのまま「どうぞどうぞ、忙しいのによくお出かけくださいました」などと言われながら、招待席に収まったりするくらい。

それが今回は、招かれた高名な評論家、マスコミ筋でさえきちんと出席返事をしていない方はアウトだし、主催者周辺には「足りないから、来れない人は必ず切符を返すように」言われたりする。

たかをくくって何もしていなかったが、行かないつもりは無かった人たちは「ちゃんと買うから、どこかにチケット無いの?もちろん、どのランクでも何処の席でもいいから。」と焦っている。見慣れない光景だ。

そもそも柴田南雄生誕100年のわりには、大きな組織で目立つ会が行われることは少なかった。それもあってヤマカズさんたちが一念発起して、「なら自分たちで手作りでやる」となった。

大マスコミ主催ではないから、宣伝広報も自分たちのSNSを中心に。

意義は多くの人が認めても、当然そんなに飛ぶように切符が売れるはずもなく、「せめてみっともなくないくらいは埋めなきゃ」程度の展開だった。

でも関係者は本当に広報宣伝を頑張った。生前の柴田南雄を知る最後の世代から、直接は知らないが本や放送で影響を受けた人たち、そしてこれがすごいと思うが、「本当はよく知らない」人と「実は全く知らなかった」人たちが、渦に巻き込まれたように、それなりに尽力した。

こんなに無私に皆が動く会もそうはないだろう。CD&DVDセットの「柴田南雄とその時代全3巻」にからんだときも思ったが、柴田南雄と言う名前をだすと本当に皆が無私で協力してくれる。普段はギンギンの興行優先、金優先の方でさえそうだったりした。

「ご遺徳」などという、普段使ったこともない言葉を使いたくなるほとんど唯一の例かもしれない。これは何より柴田南雄自身が無私で客観的に公平に音楽全体をとらえ、それが意識的無意識的に多くの人に影響を与えたのだろう。
柴田南雄書斎カラー
本日のコンサートのために様々な人間関係が再開したり新たにつながったりもしている。「音楽は人をつなぐもの」などと声高におっしゃる方々とは遠い所のイメージの柴田が、結局多くの人もつなぐことになった。
柴田南雄、マイク白黒
そして、それがヤマカズさんたちの世代が中心となって行われたのは、何より喜ばしい。

(レポートはnoteに書きました)