メットライブビューイングでサーリアホの「遥かなる愛」拝見しました。

なんせ客席数4000の劇場ですから、現代作品をやることはめったにありません。タン・ドゥンとか例外的な話題性がある場合のみでしょう。

サーリアホはその例外のお一人。前衛的過ぎずに美しい音楽で、今や世界的巨匠ですね。

この「遥かなる愛」もザルツブルグで初演されて、東京でもやられてメットですから、まあ圧倒的勝ち組作品。

3人の歌手だけで3時間位持たせるわけで、それぞれモノオペラをこなせるくらいでないと無理です。

特にメトライブビューイングの高画質で、ずっとアップで、会ってもいないのに憧れられ続ける美の化身役のソプラノは歌だけでなく、容姿的にも納得させないといけないわけで大変です。今回はスザンナ・フィリップスで適役でしょう。

相手役は「憧れたあげくに病死する」わりには、お腹が立派過ぎるという声もあるエリック・オーウェンズですが、まあ、あそこまで歌えたら、それ以上どうこういうのはお気の毒、というものです。脇役とはとても言えないくらい出ずっぱりのタマラ・マムフォードも良かった。

ですが、一番印象に残ったのは、やはりというか指揮のスザンナ・マルッキ。あのきれいな指揮通りの音がするのですから恐ろしいといいますか。

いくら美しいとは言え、聴きなれない現代作品で、飽きさせない色合いをつけていくのですから、誰でもできる芸当では無さそうです。

この人では無かったらフィナーレなど、くどくてかなり飽きそう。