いよいよ新国立劇場の「神々の黄昏」が始まりました。このリングチクルスが始まったのも、つい最近のような気がしますが、全くあっという間です。

飯守泰次郎監督自らの指揮で、今回のオーケストラは読売日本交響楽団。読響の40周年記念パルシファルのときクンドリーを歌っていたペトラ・ラングが今回はブリュンヒルデ。

その読響パルシファルの時のペトラ・ラングの第2幕は圧倒的で忘れられません。彼女が、その後イヴァン・フィッシャーとやったオランダのプロダクションのパルシファルもDVDになっていますが、現時点での決定盤といいたいくらいです。

ヴァルトラウト・マイヤー、ヴィオレッタ・ウルマーナ、ルアナ・デヴォルらと同じくメゾあるいはアルトからだんだん声域を上げていって、イゾルデやブリュンヒルデに至った、という名手達に連なり、ラングもその後押しも押されぬブリュンヒルデ歌手になりました。そういえば、日本でのその系譜、我らが池田香織さん(今回第2のノルンでご出演)も来年ブリュンヒルデをお歌いになるとか。

数日前にゲネプロ拝見しました。ラングブリュンヒルデは、もう本当に素晴らしいです。ヴァイオリンでバッハシャコンヌを弾いているような千変万化。妹のヴァルトラウテが説得に来る場面は、何とヴァルトラウテがヴァルトラウト・マイヤーで、姉と妹は逆のような気もしますが、「きっちり譜面通りやっているのに情感豊か」と言われるマイヤーの面目躍如です。2大名花がお互い違う持ち味で一歩も引けをとりません。

全6時間コース。マチネーが14時開演、ソワレが16時開演と、「どっちでも似たようなもん」のようなことになっているあたりがさすが「神々の黄昏」。

最初の序幕と第1幕だけで約2時間ですが、その第1幕の終わりの所にこのブリュンヒルデ、ヴァルトラウテ対決の場面が来ます。ここを見るだけでもかけがえのない経験をすることができるでしょう。
レポートはnoteに書きました)

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