さすがの、この舐めるように濱田本「歌の心を究むべし」を読むシリーズも今回が最終回です。ご安心ください。

最後の方の「往年の巨匠たち」になって、普通のクラシックファン待望の馴染みのお名前がたくさんでてきます。ここまで頑張ってついてきたご褒美でしょうか。

タイトルにも明らかなように、オフビート、歌心派の濱田さんとしては新即物主義やら今風の演奏家はあまりでてこないであろうことは予想されます。

実際に出てくるのは、クナッパーツブッシュ、エドウィン・フィッシャー、ウラッハ・・・・特にご年配ファンの方には胸踊る名前群でしょう。

あとツィンマーマンの弾き振りのショパンピアノ協奏曲も出てきて「彼のピアノはさておき、第一番の冒頭ピアノが出てくる前の長い前奏は、ポーランドの民族性が得られたアイディアなのか、ルバートが多用され、情景が思い浮かぶような理想的な演奏である」と言うところは、両手を上げて「そうそう」と言いたいところです。

あと、クナッパーツブッシュのシューベルト軍隊行進曲とかアイネクライネとかも。まあこのあたりはクナマニアには有名でしょうが、たしかに無条件に興奮させられます。

そして、最後はテレマン。86年の生涯という当時としては化物のような長生きの巨人の言葉が最後に引用されています。「歌の心を究むべし」。そうこの本のタイトルですね。

この本はアルテス・パブリッシングから出されています。文中の基礎的文献リストが貴重なのは前にも触れたとおりですが、アルテスの出版物群も音楽ファンの基礎的文献として大事なものがズラッと並んでいます。とりあえず濱田本文中のもの5冊、アルテスモノ5冊くらい読んでみたらいかがでしょうか。
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