ピアニスト廻由美子(めぐり・ゆみこ)さんが年2回独力で開催している現代音楽際「新しい耳 テッセラの秋」。今秋はもう第21回だそうだ。

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これだけでも普通ではない雰囲気が漂ってくるが、今年はさらに、その出し物に一人の歌手により歌われるシェーンベルク「グレの歌」と言う、とんでもないものが見える。


こんなことを考えつくのは、もちろん工藤あかねさん。ソプラノのはずだが、音域もへったくれも無いのか。第1部全部で3人(男性も含む)分を一人で歌う。

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そのあたりの詳しいことは実演付きYou Tubeが上がっているのでそちらでどうぞ。


全部歌う工藤さんも工藤さんだが100人以上のそれ以外の器楽パート一切をまかなうのがピアノの廻由美子さん。会を主催するだけでなく、演奏でもこんなことまでやる。まあ、こういう工藤さんの申し入れを平然とこなすことのできるピアニストも限られるだろうが。

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事前動画など見てこない人のために、本番時も前半はトークでご説明いただける。


これも「後ろに弾く本番が控えていると気が気ではないから長いトークとかは弾くのが終わった後に」というのが並の考え方だが、この方たちはもちろん並ではないので、お客様の理解優先でこの順番。


こういう珍しいアイディア型は、ひと目は引くが実際に行ってみたらイマイチなことが多い。だがそういう意味でもこのお二人は違う。それぞれ事前の予想以下だったことがない。


廻さんは3日間のフェス主催者としての事務的準備だけだって大変だろうし、工藤さんは直後に松平頼暁さんのとんでもない会も準備しておられる。こういうペースでずっと続けていて、疲れも見えないのだから、それは彼女らにとっては全く普通の日常行為なのだろう。

(本番のレポートはnoteに書きました。)