新国立劇場の飯守泰次郎監督フィナーレのカタリーナ・ワーグナー新演出の「フィデリオ」は、一部のオペラマニアの方の間では多少話題になっています。 

いわゆる読み換え型で、「筋立て」にすら手を突っ込んでいますから。

ドイツやオランダは社会派といいますか、「観光客向け伝統型」や「上質エンタテインメント型」ではなくて、「リアルな現実問題とのつながりを考えさせなくて何が芸術か」というような新演出がよく見受けられます。そのためには台詞も舞台設定も、音楽以外は何でも変えることをいといません。

若杉弘さんや大野和士さんと違って飯守泰次郎監督は保守的オーソドックス派に見えますが、ドイツやオランダの劇場経験が長いですし、バイロイトでもブーレーズのアシストを長くやっておられたくらいで、任期最後はその手の新制作で締めくくったのも、らしいところでしょう。

賛否両論は当たり前で、「最初はオールスタンディングブーくらいでちょうどいい」とアーノンクールやコンヴィチュニーならおっしゃるかも知れません

まあ本欄をお読みいただける方々の99%は特にご興味もないでしょう。オペラマニアから見て文楽や清元の最後の解釈が大きくひっくり返っても「だからどうした」というのと同じで。

ですが、まあ日大フットボールタックルの百万分の一くらいの興味本位ででも、どうぞのぞきに行ってみてください。私も実際にうかがうのは今からで、楽しみです。
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