二期会のフィデリオが始まりました。祝祭的祝典的機会によく取り上げられるこの作品が、嘘のように二期会の実質的なコロナ禍自粛復帰記念公演となりました。
ピットは穴蔵にならないように上げられて客席との境もなく、演奏会形式上演のようにオーケストラは顕です。
その上に、ド迫力で定評のある大植英次指揮ですから、どうなることかと思いきや、結果はあっと驚く、超しっとり古典高格調型。
この作品に限ってはバーンスタインとアーノンクールから教えを受けたという、想像がつくようなつかないようなご経験の上だそうですが、ともかく煽らない、吠えないフィナーレ。
そこでのコーラスもソーシャルディスタンスで外側の壁に沿ってポツンポツンと。
ところがそのトータルの感動的なこと。
この時期の公演はすべて血と涙の結晶でしょうが、特に大規模公演は高次方程式を解くような、無限に続く無理難題との対決となります。
サントリーホールサマーフェス2020の最後の杉山洋一作品のラッパがそうだったように、このフィデリオも最後はただただ胸が一杯になるでしょう。
まだ今日明日の公演が残っています。どこも存亡の危機。皆様チケット買いに会場へどうぞ。
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