正月早々1月5日と6日に二期会のオーチャードでのセミステージ形式シリーズとしてサン=サーンス「サムソンとデリラ」がある。

普通はニューイヤーガラとかやってそうな時期に、また随分本格的だが、もちろん一旦計画されたものの延期で、諸般折り合ったのがここ、ということだろう。

当初は準・メルクル指揮となっていたのが延期の結果ジェレミー・ローレルに。そして、彼もどうかと心配されたが、やはり変更。

そしたら何と代役がマキシム・パスカル。まあ確かに読響や名古屋フィルを振りに来日し、2週間隔離で招聘元はエレクトリック・ピアノを搬入したり、とご協力の上、無事終わって帰国か・・・・という時期。

ともかく現に目の前にいるのだから、話をつけたのだろうが、また随分と大物をグットタイミングで。

マキシム・パスカルは現代音楽好きからすれば隠れもない存在で、「ニーベルンクの指輪」が普通に見えるほどとんでもないシュトックハウゼンのオペラをパリで指揮したりしている。

©Hugo Ponte

©Hugo Ponte

ピアノで言えばエマールのようなもので、「最初現代音楽スペシャリストのイメージで、いつの間にかクラシック全般の大家に」というパターン。しかも若い。と思っていたが1985年生まれだから、もう立派な中堅か。

二期会ではフランスのラン歌劇場と一緒に作った黛敏郎「金閣寺」を指揮していたのが彼。あちこちで、このレベルの実績をあげているから、ベテランの感すらある。もちろん「金閣寺」はすごかったから、来年の「ルル」に再招聘されていて、それを楽しみにしていたら、何とその前にこんな組み合わせが実現してしまった。

「ルル」はある種、当然というか予想された線だが、「サムデリ」も、というのは思わぬプレゼント。こんなこともあるのですね。