せたがやパブリックシアターで、こんにゃく座創立50周年記念林光作曲オペラ「森は生きている」吉川和夫オーケストレーション版の舞台が開きました。

コロナの影響で青息吐息の小オペラ団ですが、いつもより大きな世田谷パブリックシアターで、いつもより大きな器楽をつけて、代表的レパートリーを新演出でやるものです。

このくらい根性を入れないと、もうやってられない、ということでしょうか。

新国立劇場の「トスカ」「フィガロの結婚」、二期会の「タンホイザー」と、このところ各団体の代表的演目上演が続きます。

そのなかで、こんにゃく座の優位はなんといっても日本語作品のネイティブ上演。字幕の助けもいらず、磨きに磨いた日本語表現がすっと直接耳に入ります。
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それでも普通のオペラファンはイタリア物やドイツ物のほうがお好きでしょう。なぜか。プッチーニやワーグナーの音楽のほうが、普通に言って面白く感じられるから。演奏もタンホイザーを振っているセバスチャン・ヴァイグレの指揮とかに接すると、これを超えるのはなかなか大変だな・・・と。

ですが今回の邦人作曲オペラの作曲林光、オーケストレーション吉川和夫は、プッチーニ、ワーグナーより上とは言いませんが、かなりいい線いっています。指揮の寺嶋陸也も。
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作品も演奏もかなりいい線ならば、日本語優位のぶん、トータルでは少なくともいい勝負でしょう。あとは好みの差、くらいの僅差です。

新国立劇場や二期会しか行ったことのない方、どうぞ騙されたと思ってこの公演にいらしてください。新しい楽しみが増えるかもしれません。